何かに対して怒っていたらしい。それは彼らしくもあるのだが、まさか僕まで連絡先を消されて無視されるとは、いささかショックだった。ものを捨てたがり、そぎ落とす生活ぶりは変わっていなかった。俗世との遮断を計る彼の手段として、僕の存在が多分に漏れなかったようだがそれも許そう。彼にとって僕は数少ない、もしかすると唯一の友人だし、僕にとっても彼は無二の存在だし。
何に対して怒っていたかは、聞かれたくなさそうだったのであえて聞かなかった。それは二の次だ。積もる話もあって会話が弾んだかといえばさほどでもないが、それも二の次だ。定期的につきまとうことに決めた。